個の才能を開花!インドの高校(中等学校・上級中等学校)を探る

MicrosoftやStarbacksなど、経済界のリーダーを数多く輩出しているインド。経済成長著しいインドで、生徒たちはどんな学校生活を送っているのでしょう。

本稿では、日本の中学3年生〜高校3年生の年代に当たる「インドの中等教育」に着目し、学校生活やカリキュラム、進路選択などについて解説します。インド教育の理解を深め、国際教育の新たな可能性を探る手がかりを探していきましょう。

 

多様なカリキュラムから生徒主体で選択

インドの中等教育は、2段階あります。

セカンダリースクール(中等学校)、シニアスクール(上級中等学校)のそれぞれで、必修科目選択科目を受講します。

  1. セカンダリースクール(中等学校):9年生~10年生(中学3年生から高校1年生)が通う学校
  2. シニアスクール(上級中等学校):11年生~12年生(高校2年生~3年生)が通う学校

※インドの教育システム全般については、こちらの記事もご覧ください。

 

興味を広げる「セカンダリースクール(中等学校)」

セカンダリースクール(中等学校)では、ヒンディー語、英語、数学、理科、社会科などの必須科目に加え、コンピューターサイエンス、ビジネス(マーケティング・販売、ファイナンス、AIなど)、芸術(視覚芸術、演技芸術など)、音楽、体育など、幅広い科目を履修することができます。科目選択は生徒自身が行うのが一般的で、将来の進路や興味に合わせて自由に選択できます。

 

専門性を高める「シニアスクール(上級中等学校)」

10年生を修了すると、生徒は2年間のシニアスクール(上級中等学校)に進みます。 

シニアスクール(上級中等学校)では、ストリームと言われる3つのコースに分かれ、それぞれのコースに合った科目をより専門性の高い形で学んでいきます

例えば、科学(Science)のストリームでは、物理学、化学に加え、生物学や数学が選択可能です。医学の道に進みたい人は、生物を学びます。

商業(Commerce)のストリームでは、ビジネス、経済学、会計学の他、選択科目として数学、情報などを学びます。

芸術/人文科学(Arts/Humanities)では、心理学、歴史、地理学、社会学、文学、言語、サンスクリット語、ヒンディー語などを学んでいます。

※各ストリーム(コース)の詳細については、こちらの記事もご覧ください。

 

大学進学を目指す生徒は、AISSCE(All India Senior Secondary Certificate Examination 全インド高等学校認定試験)の準備に重点を置きます。AISSCEは、日本の大学入試センター試験のようなもので、受験結果によって進学できる大学が決まります。

一方、大学進学以外の進路を目指す生徒は、それぞれのコースで専門的な知識や技能を習得していきます。

 

科目を生徒自身で選択できる理由

セカンダリースクール(中等学校)、シニアスクール(上級中等学校)では、生徒が自ら学ぶ科目を柔軟に選択することができます。なぜそのような柔軟さがあるのでしょうか。

インドの学習指導要領にあたるNational Education Policy (NEP2020)には、インドの教育の原則として、「生徒が学習の進路やプログラムを選択し、自分の才能や興味に応じて進路を選ぶ柔軟性を持つこと」が挙げられています。

音楽、芸術、工芸に対する重点的な取り組みや、早期の多言語教育の推進、現地の専門家の雇用、伝統的な知識の組み込みなど、生徒の芸術性や創造性を引き出すための柔軟なカリキュラムにより、学生は自身の興味と才能に基づいて科目を選択し、自身の将来の進路に役立てることができます。

また、試験改革においても、学生が自身の興味に合わせて多くの科目を選択できることが重要視され、統一試験は総合的な発展を促進するために再設計されました。具体的には、予備学習や暗記ではなく、主に基本的な能力をテストすることに焦点が置かれるようになります。

同様に大学入試試験の改革においても、生徒の興味と才能に基づく学びの重要性が見出され、大学側が学生の個別の成績を見ることで、学生を選抜することもできるようになっています。

 

インドの生徒の学び方について

インドの学生は、どのように学んでいるのでしょうか。

現状を調査するため、違うセカンダリースクール(中等学校)に通う、10年生(日本の高校1年生)2人にインタビューをしました。

学校で学んでいる教科

必須科目:化学、数学、社会科学(通称SST)、英語、AI(人工知能)

選択科目:サンスクリット

好きな教科:数学

一日の学習時間:10時間(学校6時間、塾・家庭で各2時間)

学習のコツ

適切な勉強の方向性と集中力を保つこと

部活動

学校:ディベート部に所属(週に1回)

学校外:カタックダンスを習っている

将来の夢:数学の教師

学校で学んでいる教科

必須科目:化学、数学、社会科学(通称SST)、英語

選択科目:AI(人工知能)

好きな教科:数学、化学

一日の学習時間:9~10時間(学校6時間、塾2時間、家庭1~2時間)

学習のコツ

動画を見て、勉強の方法を学ぶ

部活動

学校:スポーツチームに所属

学校外:クリケットとサッカー(週2回)

将来の夢:起業

 

2人ともAI(人工知能)やサンスクリット語など、日本にはないような選択科目も選び、自分の興味にあった形で能力を伸ばしているようです。また、とても勉強熱心な一方で、課外学習でもそれぞれダンスやスポーツに取り組むなど、アクティブに活動している様子が伺えます。

 

まとめ

日本の高校では文理選択がありますが、インドのセカンダリースクール(中等学校)では興味関心を広げるアプローチを、そしてシニアスクール(上級中等学校)では専門化が進んでいきます。多様な科目を選択し、自身の個別の進路を設計をすることができるのです。

近年進められている教育改革などにより、インドの高校教育は大きな可能性を秘めています。学生の興味や才能に基づいた学びの重要性が認識されたインドの高等教育について、今後も注目していきたい点です。

 

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Last Updated on 2024-08-20