「小学校におやつの時間がある」と聞くと、私たちはとても驚きます。日本でも幼稚園や保育園では「おやつの時間」はありますが、小学生以降は、放課後に家庭等で食べるイメージが強いからです。
インドの就学前・初等教育では、その学習効果への期待から、午前中に「スナックタイム(おやつの時間)」が設けられています。
本稿では、スナックタイム(おやつの時間)と学習の関連性について探っていきます。
スナックタイム(おやつの時間)とは
スナックタイムとは、学校などで授業の合間に行われるおやつの時間のことです。インドだけではなく、アメリカやイギリスなどでも、スナックタイム(おやつの時間)があります。食事と食事の間の栄養補給を目的としており、子どもの集中力を維持し、学習効果を高めるために設けられています。子どもたちにとっても、学習の合間の楽しいひと時です。
おやつと学習の関係性について
おやつと学習の関連性については、科学的な研究やリサーチが行われています。
キャロライン・R・マホニー (2006) が実施した研究から、食事のタイミングと摂取する栄養素は、学習の有効性と効率に影響を与えることわかりました。
日本では、おやつの時間といえば「午後3時」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
午後のおやつで炭水化物を摂取すると、空間記憶や言語的注意力が向上するという研究結果があります。
ちなみに、日本のおやつの起源は、江戸時代と言われています。今とは違って食事が朝夕の1日2食だった江戸時代は、労働の合間に間食をとることが多かったそうです。その時間が、現在の午後2時から午後4時の間だったことから、3時がおやつの時間として認識されるようになったのだそうです。
一方、インドのプレスクール(日本の幼稚園にあたる)とプライマリースクール(日本の小学校にあたる)1・2学年時には、午前中にスナックタイム(おやつの時間)があります。午前のおやつは、注意力を向上させる効果があると報告されています。
インドのスナックタイムについて
では、実際にインドのスナックタイム(おやつの時間)では、子どもたちはどのようなおやつを食べているのでしょうか。
スナックタイム(おやつの時間)の定番は、フルーツです。その他には、ポパ(お米を平たくして乾燥させたもので、インドで定番の朝ごはんの一つ)、サンドイッチ、パラタ(チャパティより厚手で食べ応えのある、薄焼きのパン)も、よく食べられています。
砂糖の起源ともいわれるインドでは、甘いスイーツが数多くありますが、子どもたちのスナックタイムは、栄養バランスも考えられていることがわかります。
続いて、おやつを摂る時間についても、見ていきましょう。
下記の表は、日本の小学校にあたるプライマリースクール1・2学年(6~8歳)の一週間の時間割例です。
朝から給食のちょうど半ば頃に、スナックタイム(おやつの時間)が設けられています。午前中のおやつは、注意力を向上させる効果があるとされていますから、午前中後半の学習に向かう切り替えの時間となっていることでしょう。
15分という時間の長さも、集中力を低下させずに休息をとるという配慮が伺えます。
一週間の時間割例 (プライマリースクール1・2学年 6~8歳)
まとめ
インドの小学校におけるスナックタイムは、単なる休憩時間ではなく、学習効果を高めるための重要な要素となっています。科学的な根拠に基づいた食事のタイミングや内容によって、子どもたちの成長をサポートしています。
一方で、おやつの内容次第では、成長期に必要な栄養素を十分に摂取できなくなったり、逆に学習効果を損ねてしまったりする可能性もあります。例えば、糖質の高いおやつは、血糖値を急上昇させ、集中力の低下や眠気を招くこともあるのです。
子どもたちの健康と学習にプラスの影響をもたらす「スナックタイム」について、考えていきたいですね。
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Last Updated on 2024-08-21