海外在住10年の帰国子女が、インドスタディツアーで得た気付き(渋谷教育学園渋谷高等学校 橋本結花さん)

渋谷教育学園様では、2024年度より、インドへのスタディツアーと、インドの交流相手校からの訪問受け入れを開始されました。

参加者の中には、帰国子女など、海外経験が豊富な方も多く含まれていました。その一人、渋谷教育学園渋谷高等学校1年生の橋本結花さんよりご連絡を頂き、インドでの経験についてインタビューをさせて頂きました。

 

10年の海外在住経験を持つ橋本さんが、なぜインドスタディツアーに参加しようと思ったのか、そして、インドに行ってどのような気付きがあったのか、詳しくお話を聞かせて頂きました。

 

 渋谷教育学園渋谷高等学校1年生 橋本結花さん

 

-改めて、この夏はインドスタディツアーへのご参加、ありがとうございました。海外経験が長い橋本さんですが、今回なぜインドスタディツアーに参加したいと考えたのでしょうか?

 

私は海外で10年暮らした後、中学生の時に日本に帰国しました。帰国後、海外プログラムには参加していなかったのですが、インドスタディツアーの話を聞いた時、「自分の殻を破る最高の機会」と感じました。

私は国際政治学に興味があり、模擬国連の活動に全力で取り組んでいました。ただ、各国の大使役などをやる中で、現地の本当の様子を知らないのに、軽々と話して良いのかという迷いが生じてきていました。

インドの大使役をやったこともありましたが、「画面越しでは伝わらない文化を肌で感じて、フィルターを取り去りたい」「日本に住んでいたら感じないものを自分で感じてみたい」と思い、インドスタディツアーへの参加を決めました。

 

-実際にインドに行ってみて、どのような点が印象に残りましたか?

 

大きく分けて、2つの点がありました。

 

1つは、「明確な夢を持って努力している同世代の存在」です。

ホストファミリーとなった交流相手校のバディの生徒は、アメリカのアートスクールに進学する目標を持っていました。彼女は目標につながるような勉強、インターンシップ、コンテスト参加等をしており、進路と真剣に向き合って、自分で道を切り開いていることを知りました。

バディと自分を比べてみると、私は色々な活動で忙しくはしているものの、それぞれ中途半端になっていることが多いと感じました。目標意識を持って、自分の未来を自分で作っていくバディの姿勢に刺激を受けました。

 

2つ目は、「社会格差」です。

ホストファミリーは日本人よりも経済的に豊かな暮らしをしていましたが、家の中にはお手伝いさんがおり、家庭内でも貧富の差を感じる機会がありました。また、街に出ると物乞いをしている子供達がいることにも衝撃を受けました。

日本にも貧富の差はあり、教科書では社会格差というものを習っていましたが、実際にインドで大きな格差を自分の目で見て、体感したのはとても大きな経験でした。自分の日本での暮らしが恵まれていると感じ、恵まれているからこそ、最大限努力する責任を感じました。

 

-特に、スラムを訪問したことが印象に残っているということでしたね。

 

はい、スラムでは、貧富の差を痛切に感じました。訪問したエリアは支援団体も入っており、学校や電気の供給もあったりと、スラムの中でも環境が整っているはずの場所です。ただ、それでも低賃金の仕事や、教育が十分ではないこと、病院に気軽に行けないといった状況がある現実を知りました。

訪問したスラムのエリアでは、多くの女性が縫製業に関連するリサイクルの仕事をやっていました。日本に住んでいると、自分の服がどうやってできているかや、どのような人が関わっているかを意識する機会はなかなかありませんが、自分たちの生活には犠牲が伴っていると感じました。

 

また、「スラム=不幸」と勝手にイメージしがちでしたが、行ってみると、そこに住んでいる方々は幸せそうに見えました。子供達もニコニコしており、自分たちが持っているものに感謝して生きているのだと感じました。
それを通して、自分は今の恵まれた生活環境をもっともっと幸せと感じ、感謝しなくてはいけないと思いました。
スラムの子達は今の環境でもハッピーかもしれないですが、別の環境を選択する権利や機会がないということに課題意識を持っています。恵まれている環境にいる自分だからこそ、何かアクションを起こしていきたいと考えています。

 

-インドスタディツアーでの経験が、一過性でなく、今後のアクションへの意欲に繋がっていることを嬉しく感じています。

スタディツアーでの企業訪問やインド工科大学訪問でも、誰よりも積極的に質問や発言をしていた橋本さんの姿が印象に残っています。

 

恵まれた環境にいる自分が、せっかくお金を使って来させてもらっているのだから、「吸収できることは全て吸収して帰ろう」と思って取り組んでいました。それが積極性に繋がったと思います。

 

-それに見合う学びは得られましたか?

 

はい!本当に参加してよかったです!

 

-他の海外の国での経験と、インドとの違いは何か感じましたか?

 

オーストラリアで通っていた学校は、私立でヨーロッパ系の生徒しかいない環境でした。そこでは、アジア人として苦労した時期もありました。

それに比べてインドの同年代は、「日本人だから」というバイアスはなく接してくれました。

日本人は自分から無意識に壁を作りがちですが、バディと話していると、好きなものが同じだったり、同じことを勉強していたりと、実は共通点が多くありました。インドと日本は全然違って見えても、同じ高校生同士、わかりあえることに気づきました。

宗教、言語、人種の壁があるように感じても、実はその壁は自分が勝手に作り上げたものでしかないことに気付きました。

インドへのスタディツアーでこの壁にヒビが入り、その隙間からは私が今まで知ることがなかった世界が見えました。最初の一歩を踏み出すのは怖いかもしれませんが、勇気を振り絞って前に進んでみてください。新たな世界が待っています!

 

お話を聞かせて頂き、ありがとうございました。インドスタディツアーでの気付きを元に、実際に行動を起こそうとしてくれていることを大変嬉しく感じております。これからの橋本さんの活動を応援しております!

(インタビュー:2025年2月)

 

 

Last Updated on 2025-03-27