インドのスポーツ&体育事情、徹底解説!

インドのスポーツといえば、「ヨガ」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

日本でも10人に一人は実践者と言われているヨガ。その起源は、4500年前のインダス文明にまで遡ります。インドはスポーツにおいても歴史の深さを感じます。さらに、インドで大人気のスポーツ「クリケット」は、競技人口1億5千万人以上と言われ、日本の人口以上ですから驚きです。

本稿ではインドのスポーツに注目し、学校での取り組みも含めて紹介します。

 

インドの「体育の日」

2024年のパリオリンピックでも、男子ホッケーが3位に輝いたインド。そのホッケー界の伝説、メジャー・ディヤン・チャンドの生誕記念日を記念して、インドでは毎年8月29日を「体育の日」と定め、ナショナル・スポーツデーと呼ばれています。
チームワークなどのスポーツの価値や、健康な毎日を送るための運動の重要性を再認識し、スポーツを楽しむことを奨励するのが、ナショナル・スポーツデーの目的です。この日は、学校や企業など、様々な場所で、イベントやキャンペーンが開催されています。

また、近年、インドの都市部ではジムが増加傾向にあります。経済発展に伴い、健康問題が深刻化し、糖尿病患者が7,700万人(2019年)に達するなど、食生活や運動習慣への関心がますます高まっていることが背景にあります。

 

学校での取り組み

「体育」の歴史

運動習慣を身に着けたり、スポーツの楽しさを知る機会として、学校教育における「体育」も重要な役割をになっています。

インドで「体育」が、学校教育において教科化されたのは、比較的新しく1968年です。数学や理科、英語、社会といった主要科目は、義務教育での教育内容の統一を図っていましたが、芸術教育の「音楽」「美術」「演劇」や「体育」は一部の私立学校でのみ行われおり、公立の学校においては教員不足などから、実現には時間がかかったことが理由としてあげられます。

1968年以降の教育改革を経て、現在では義務教育の公立小中高等学校で、これらの科目は教科化されました。

2013年には、「生徒のための国家体力増進プログラム(NPFP: National Physical Fitness Programme For School Children)」が発表されました。これは、日常の運動や食生活の改善など、健康習慣を身に着けることを目的としています。

さらに、2018年度に正式にスタートした学校教育の発展のための包括的な戦略計画「Samagra Shiksha(サラグマ シクシャ)」では、体育教育の重要性を再認識するとともに、体育が行われる教育環境整備のための支援策も提示されています。

 

授業の内容

では実際に、学校の「体育」ではどのような授業が行われているか、見ていきましょう。次の5つが基本的な学習活動として、インドの教育省に定められています。

  • Fitness Activity A・・・ 柔軟体操や基礎体力をつけるための活動
  • Adventure Activity B・・・ 野外活動やキャンプなどの集団活動
  • Games・・・バレー、サッカー、ラグビー、クリケット、ポロ、タグフットボールなど
  • Dance Activity・・・民族舞踊、ボリウッド、西洋舞踊、HIP HOP、社交ダンス
  • Recreation・・・運動会、ゲーム大会など

体育として、「ヨガ」を取り入れている学校もあります。日本でいうところの「ラジオ体操」といった位置づけになるでしょうか。インドでは、「ヨガ」が子どものころから親しまれていることを感じます。

 

部活動とインターハイ

インドでも、子どもたちは放課後に様々な活動を行っており、スポーツに関わる活動も人気です。

部活動・課外活動に関する詳細は、こちらの記事を御覧ください。

 

さて、インドのCBSE(中央教育委員会)※1の傘下にある学校に通う学生は、年に一度「CBSEインタースクールスポーツ大会」に出席します。大会は、年齢別にクラスター大会、地区大会、全国大会の3段階あります。また、出場種目は以下の24種目あります。

【年齢別】

U11(11歳未満)

U14(12~13歳)

U17(14~16歳)

U19(17~18歳)

【種目】

カバディ・コーコー(Kho-Kho)※2・アーチェリー・ボクシング・チェス・ライフル射撃・ヨガ・エアロビクス・縄跳び・アスレチック(陸上)・バスケットボール・サッカー(男・女)・卓球・バレーボール・バドミントン・ハンドボール・ホッケー・スケート・水泳・テコンドー・テニス・柔道・体操

 

※1 CBSE(中央中等教育委員会)についての詳細は、こちらの記事も御覧ください。

※2コーコー(Kho-Kho)・・・鬼ごっこの一種で、屋外スポーツの一つ。「Kho Kho」の概要については、こちらをご覧ください。(Fit India Movement より)

カバディやコーコー(Kho-Kho)といったインドの伝統的なスポーツの他、柔道も出場種目に入っていることが興味深いですね。

 

まとめ

インドでは、経済発展に伴う健康問題への解決策としても、スポーツが注目されています。学校では、伝統的なカバディやヨガに加え、ダンスや球技など、多様なスポーツが取り入れられています。施設や教具などの整備に課題はあるものの、政府の支援も後押しとなり、体育教育はますます充実していくでしょう。

 スポーツを通じたインドの社会変革や、新たなスポーツスターの誕生など、様々な可能性が考えられます。今後のインドのスポーツ界からも目が離せません。

 

インドの教育について深く知りたい方へ

インドの90校以上の学校をパートナー校として持つShin Edupowerでは、インドと日本の学校同士のオンラインでの交流・協働ができるプログラムや、インドへのスタディツアーを企画・実施しております。インドの最先端の教育を受ける生徒との交流により、世界の見え方が大きく変わる経験を得られます。こちらよりお気軽にお問い合わせください。

Last Updated on 2024-12-17